株式会社大岩保険事務所

  • 火災

コラムタイトル

社宅で火災発生…。万が一に備える保険のハナシ

リード

火事は全国で毎日のように発生しており、身近に潜む危険のひとつです。誰しもが火事を起こしたり、巻き込まれたりするリスクがありますが、その備えは十分なものとなっているでしょうか。

    • 火災
コラムサマリ

★この記事は約5分で読めます。

  • 通常、賃貸住宅は火災保険の加入が必須だが、社宅では保険に入っていないケースも。
  • 他人を火事に巻き込んだ場合も失火した本人に賠償責任はなく、自分で備える必要がある。
  • 十分に気を付けるのと同時に、火災保険に加入しているかチェックしてみよう。

※ご契約にあたっては、必ず「重要事項説明書」をよくお読みください。ご不明な点等がある場合には、お問い合せください。
※取り扱い保険会社及び保険商品について、ご不明な点等がある場合には、お問い合せください。
※文中に記載の保険商品、サービスの名称及び内容は保険会社によって異なる場合がございます。

本文

火災事故の代表的な原因は?

2020年の国内の総出火件数は、3万4,691件でした。単純に考えても、約15分に1件のペースで火災が発生していることになります。実際に、火事はとても頻繁に起きているのです。

すべての火災事故のうち、最も原因として多いのは「たばこ」、次いで「焚火」ですが、建物火災に限ってみると、1位「コンロ」(2,735件 14.1%)、2位「たばこ」(1,858件 9.6%)、3位「電気機器」(1,228件 6.3%)、4位「放火」(1,149件 5.9%)、5位「配線器具」(1,062件 5.5%)という結果です。

特に、ほとんどの家庭においてコンロは使い慣れた機器。だからこそ、油断して火をつけたまま離れたり、忘れたりすることが多いようです。また、近くの可燃物に火が移ることが原因であることも多く、実際にヒヤリとした経験を持つ人も多いでしょう。

また配線器具などは、一度セットしてしまうと放置したままになりがちです。いつの間にか配線コードに断裂が入ったり、コンセントとプラグの間にホコリが溜まったりして、思わぬ出火原因となることがあります。他にも、ストーブに布団が当たってしまっているのに気づかなかったり、電子レンジで食材を加熱しすぎてしまったりなど、日常生活の中に火事の原因は多く潜んでいます。

 

「火災保険」に加入しているか確認しよう

火事を起こさないように気を付けることが、もちろん一番重要です。しかし、どんなに気を付けているつもりでも、万が一は起こり得ます。備えとして、火災保険への加入を検討しておくべきでしょう。

火災保険に入っておいた方がよいのは、持ち家がある人だけではありません。賃貸住宅に住む人の場合も同様です。

賃貸住宅の場合に火災保険に入っておくべき理由は、自分の家財を守ること、そして大家さんへの賠償責任義務を果たすためです。賃貸借契約では賃借人には原状回復義務があるとされており、火事で部屋に損傷を与えた場合には、賃借人がその修繕をする必要があります。しかし実際上は、借家に住んでいる人が火災保険に加入していないケースはあまりないと思われます。火事などを理由とする大家さんへの賠償費用は多額に上ることも想定されるため、通常は賃貸借契約時に火災保険の加入も求められるためです。

一方で、加入漏れがありそうなのは社宅で暮らす場合です。社宅入居時に火災保険加入の規則がなければ、うっかり未加入のままとなってしまうこともあるかもしれません。社宅の場合でも、自分の家財を守るための保険はあった方が安心です。社宅の原状回復義務については、その会社の規定次第となるでしょうが、やはり多少の費用負担は発生することが多いと考えられます。

火事を起こしてしまい、隣の部屋や家屋にまで延焼することも想定しておかなくてはなりません。実は、類焼によって隣家の家財に損害を与えることになっても、出火した人は賠償をする法的義務はありません(加害者に重大な過失がある場合を除く)。木造家屋が多く、火事の多かった日本には「失火責任法(失火ノ責任ニ関スル法律)」という法律が古くからあり、そう定められているのです。

しかし、社宅で火事を起こし、同僚の部屋に火が及んで多大な迷惑をかけたのに補償もしないというのは、心情的にかなりつらいものでしょう。人間関係にも影響を与えそうです。その際、「類焼特約」が付いた火災保険に入っていれば、被害者自身の入っている保険を超える分の損害については保険金を支払うことができます。迷惑をかけた世帯に見舞金を支払う「失火見舞金」という特約もあります。


いつ火災が起こるかはわからない

火事がいつ起こるか予測することはできません。いくら用心しても、万が一ということはありえます。また、自分が気を付けていても、隣の家から出火するかもしれません。先に述べた失火責任法により、その際も隣の家からの損害賠償は望めません。やはり予測できない火災のリスクには、保険で備えておくべきでしょう。

火災保険に入る際には、その補償内容をきちんと確認することが重要です。建物に保険を付けても、自動的に家財にも保険がつくわけではありません。生活を再建するために必要な家財の買いなおしを考えて、家財にかける保険の金額を決めます。また高価な貴金属や美術品などがある場合には、個別に申告をしておかなければいけないこともあります。保険の契約時に確認しておきましょう。

火災保険には、補償の範囲が火災だけでなく、水濡れや盗難などもオプションで選べるようになっているものがほとんどです。自分の住んでいる地域の特性や、建物の構造に応じて、備えておきたい補償を選んで付けておきましょう。他人にケガをさせたり、他人の物を壊してしまった時に役立つ、個人賠償責任保険がオプションで選べる保険商品も多くなっています。

火事に遭う可能性をゼロにできない以上、火災保険で生活を再建できるような備えを検討しておくことが大切です。

この記事の執筆協力

執筆者名

北垣 愛

執筆者プロフィール

国内外の金融機関で、金融マーケットに直接携わる仕事を長く経験。現在は資産運用のコンサルタントを行いながら、主に金融に関する情報発信も行っている。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、FP一級技能士、宅地建物取引士資格試験合格、食生活アドバイザー2級

募集文書管理番号
0216-29A1-B21142-202202

関連コラム

  • 火災

    地震保険に家財補償は必要? その特徴と独自の補償額も確認

    地震大国と言われる日本では、マイホームの地震保険加入は欠かせません。この地震保険は建物だけでなく、家財にも契約することができますが、その補償額は、火災保険とは異なり、実際の損害額の全額を補償するものではありません。そこで、気になる地震保険の家財補償の特徴と、その補償割合の算定について確認してみましょう。大切なマイホームを守るための保険ですので、きちんと理解して加入を検討しましょう。

  • 火災

    マイホームの火災保険で悩む「家財補償」。300万円で足りる?いくらかければいいの?

    マイホームの万一に備える火災保険は、対象を「建物」と建物内にある「家財」に分けて補償を考えます。「建物」については当然に契約するものの、「家財」については補償額をどうするか、そもそも契約すべきかについて悩むケースがあるかと思います。「家財」の補償範囲や補償金額の設定について、結婚や出産で家族が増えたときを想定し、安心できる補償の考え方を解説します。また、よく言われる300万円の補償金額設定の真偽についても検証してみましょう。